
2008年08月26日
名もない話 第11話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は今日も一人です。
友達が行ってしまってから、随分時が過ぎたように思えます。
「つまらないわ。」
つい口に出した言葉にも返事をする人もいません。
その時クジラのうたう声が聞こえてきました。

ようやくクジラが帰ってきました!
「おーい、クジラさーん!」
「おかえりなさーい!」

「やあ、ただいま」
「調子はどうだい?」
いつものクジラが帰ってきました。
女の子の胸は懐かしさと喜びで一杯です。
「久しぶりね!一体どこへ行ってたの?」
クジラはしばらくの沈黙の後、こう言いました。
「いいかい?よくお聞き・・・」
続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は今日も一人です。
友達が行ってしまってから、随分時が過ぎたように思えます。
「つまらないわ。」
つい口に出した言葉にも返事をする人もいません。
その時クジラのうたう声が聞こえてきました。

ようやくクジラが帰ってきました!
「おーい、クジラさーん!」
「おかえりなさーい!」

「やあ、ただいま」
「調子はどうだい?」
いつものクジラが帰ってきました。
女の子の胸は懐かしさと喜びで一杯です。
「久しぶりね!一体どこへ行ってたの?」
クジラはしばらくの沈黙の後、こう言いました。
「いいかい?よくお聞き・・・」
続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年08月21日
名もない話 第10話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

二人はお互いに、天と地ほどの別々の気持ちを持ったまましばらく過ごしていました。
そしてとうとう出発する日がやってきました。
クジラはまだ戻りません。
クラゲ達は我関せずといった風で、フワフワと浮いたり沈んだりしているだけです。
「じゃ、私行って来るわ。つまらなかったらすぐ戻るんだから心配しないで。」

友達は足取りも軽く行ってしまいました。
後に残された女の子はまた一人ぼっちになってしまった気がしました。
寂しさをこらえながら椅子に座ります。

続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

二人はお互いに、天と地ほどの別々の気持ちを持ったまましばらく過ごしていました。
そしてとうとう出発する日がやってきました。
クジラはまだ戻りません。
クラゲ達は我関せずといった風で、フワフワと浮いたり沈んだりしているだけです。
「じゃ、私行って来るわ。つまらなかったらすぐ戻るんだから心配しないで。」

友達は足取りも軽く行ってしまいました。
後に残された女の子はまた一人ぼっちになってしまった気がしました。
寂しさをこらえながら椅子に座ります。

続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年08月19日
名もない話 第9話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

クジラをしばらく待ってみましたが、まるで最初から何もいなかったかのように辺りは静まり返っています。
女の子はとうとう諦めて、友達の所へ戻ることにしました。
友達の所へ来ると、友達は頬を紅潮させて何かを決意したかのようにこう叫びました。
「決めた!私も地上の世界へ行くことにするわ!」
それを聞いた女の子はびっくりしてしまい、なんとか友達の気持ちを変えようと説得を試みましたが、友達の決意は固いようでした。
女の子はとても悲しくなってしまいました。それにとっても心配だったのです。
けれども嬉しそうな友達の様子を見ていると何も言えなくなってしまいました。

昨日までとはうって変わって、この二人の気持ちの違いはとっても大きなものでした。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

クジラをしばらく待ってみましたが、まるで最初から何もいなかったかのように辺りは静まり返っています。
女の子はとうとう諦めて、友達の所へ戻ることにしました。
友達の所へ来ると、友達は頬を紅潮させて何かを決意したかのようにこう叫びました。
「決めた!私も地上の世界へ行くことにするわ!」
それを聞いた女の子はびっくりしてしまい、なんとか友達の気持ちを変えようと説得を試みましたが、友達の決意は固いようでした。
女の子はとても悲しくなってしまいました。それにとっても心配だったのです。
けれども嬉しそうな友達の様子を見ていると何も言えなくなってしまいました。

昨日までとはうって変わって、この二人の気持ちの違いはとっても大きなものでした。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年08月07日
名もない話 第8話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は友達を探しに行くことにしました。

友達は飽きもせずフワフワと漂っていました。
けれど、今しがた目の前で起こった出来事に興奮気味です。
「ねぇ、あなた知ってる?この海の上に世界があるんですって。」
「ねぇ、あなた知ってる?地上というところはとても素晴らしいんですって。」
友達は想像に胸一杯という表情で、うっとりとしています。
「それよりも、こっちへ来て。女の人がいるのよ。」
「ああ、その人ならね、私たちの仲間なのよ。」
「地上にあこがれて、地上で暮らしているんですって。」
やっぱり、同じ種類の人なんだわ。
いつ目を覚ますのかしら、と振り返ると、彼女の姿はどこにも見えません。
あちこち探してもどこにも姿はありません。
「あ、あの人クジラとお話していたわ。」
「おーーい、クジラさん!」
けれどもそんな時に限ってクジラはどこか遠くへでも行ったのかいないのです。
「おかしいわねぇ・・・。」

続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は友達を探しに行くことにしました。

友達は飽きもせずフワフワと漂っていました。
けれど、今しがた目の前で起こった出来事に興奮気味です。
「ねぇ、あなた知ってる?この海の上に世界があるんですって。」
「ねぇ、あなた知ってる?地上というところはとても素晴らしいんですって。」
友達は想像に胸一杯という表情で、うっとりとしています。
「それよりも、こっちへ来て。女の人がいるのよ。」
「ああ、その人ならね、私たちの仲間なのよ。」
「地上にあこがれて、地上で暮らしているんですって。」
やっぱり、同じ種類の人なんだわ。
いつ目を覚ますのかしら、と振り返ると、彼女の姿はどこにも見えません。
あちこち探してもどこにも姿はありません。
「あ、あの人クジラとお話していたわ。」
「おーーい、クジラさん!」
けれどもそんな時に限ってクジラはどこか遠くへでも行ったのかいないのです。
「おかしいわねぇ・・・。」

続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年08月05日
名もない話 第7話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子の友達はその間どうしていたでしょう?

どうやら気にせず一緒に楽しんでいたようです。
「あらあら。(笑)」
そのうちに人々は一人、また一人と帰って行きました。
ただ一人を残して。

その人はクジラの知り合いらしく、さよならを言っていたようでした。
どうやら長い別れになるような、そんな感じを女の子は感じました。
「あの人きっと悲しいんだわ。」

その女の人はそのまま羽毛の寝床で寝てしまったようでした。
女の子はおそるおそるその女の人の元へ近づいていきました。
「あ。」
女の子は小さな声をあげてしまいました。
その女の人は、女の子と同じ種類の人だったことに気づいたからです。
どうしたわけか羽がなくなってしまったのだけれども、昔はここに住んでいたのに違いない、と女の子は思いました。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子の友達はその間どうしていたでしょう?

どうやら気にせず一緒に楽しんでいたようです。
「あらあら。(笑)」
そのうちに人々は一人、また一人と帰って行きました。
ただ一人を残して。

その人はクジラの知り合いらしく、さよならを言っていたようでした。
どうやら長い別れになるような、そんな感じを女の子は感じました。
「あの人きっと悲しいんだわ。」

その女の人はそのまま羽毛の寝床で寝てしまったようでした。
女の子はおそるおそるその女の人の元へ近づいていきました。
「あ。」
女の子は小さな声をあげてしまいました。
その女の人は、女の子と同じ種類の人だったことに気づいたからです。
どうしたわけか羽がなくなってしまったのだけれども、昔はここに住んでいたのに違いない、と女の子は思いました。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年07月31日
名もない話 第6話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は何かに気づいたようです。
「大変!」
女の子は急いで友達に知らせます。
けれども話を聞いても友達は相変わらずのん気に笑っているだけです。
「困ったわ、どうしよう。」
ガヤガヤガヤ・・
一気に辺りが騒然とし始めました。

今日は年に一度ここでパーティが開かれる日だったのです。
クジラは長生きなのでそんなことは知っていたのですが、女の子は知りませんでした。
女の子はコッソリと隠れて陰から見守ることにしました。

人々は大いに楽しんで、笑いさざめいています。
奇妙な音やそれに合わせたおもしろい動きをする人もいました。
「いつまで続くのかしら」
女の子はずっとその様子を見守っています。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は何かに気づいたようです。
「大変!」
女の子は急いで友達に知らせます。
けれども話を聞いても友達は相変わらずのん気に笑っているだけです。
「困ったわ、どうしよう。」
ガヤガヤガヤ・・
一気に辺りが騒然とし始めました。

今日は年に一度ここでパーティが開かれる日だったのです。
クジラは長生きなのでそんなことは知っていたのですが、女の子は知りませんでした。
女の子はコッソリと隠れて陰から見守ることにしました。

人々は大いに楽しんで、笑いさざめいています。
奇妙な音やそれに合わせたおもしろい動きをする人もいました。
「いつまで続くのかしら」
女の子はずっとその様子を見守っています。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年07月29日
名もない話 第5話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

二人はたいそう楽しく時を過ごしていました。
それは永久に続くかと思われた日々でした。
女の子はふと、何かに呼ばれている気がしました。
フラフラと声のするほうへ歩き出す女の子。
そこではまるで羽根がクルクルと舞っているのです。
「これはなんだろう・・・?」
女の子がそこへ近づいた瞬間、

女の子は全てを知った気がしました。
女の子が何を知ったのか、分かりません。
けれども、その時彼女ははっきりと何かを知りました。
「あの人にもちゃんと伝えなくちゃ!」

友達は相変わらずのん気にフワフワと漂って、楽しんでいます。
女の子は真実を伝えることをためらいましたが、友達にも言おうと決心しました。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

二人はたいそう楽しく時を過ごしていました。
それは永久に続くかと思われた日々でした。
女の子はふと、何かに呼ばれている気がしました。
フラフラと声のするほうへ歩き出す女の子。
そこではまるで羽根がクルクルと舞っているのです。
「これはなんだろう・・・?」
女の子がそこへ近づいた瞬間、

女の子は全てを知った気がしました。
女の子が何を知ったのか、分かりません。
けれども、その時彼女ははっきりと何かを知りました。
「あの人にもちゃんと伝えなくちゃ!」

友達は相変わらずのん気にフワフワと漂って、楽しんでいます。
女の子は真実を伝えることをためらいましたが、友達にも言おうと決心しました。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年07月24日
名もない話 第4話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は今日はいつもと反対の方向を見ることにしました。

あ、あそこに何かいる!
よく見ると、そこには女の子と同じような羽を生やした人があぶくに乗ってフワフワと
浮いていました。

二人は目を合わせてニッコリと微笑み合いました。
何も話さなくても心が通じ合ったような気がしました。
それだけでもう二人は友達でした。

女の子はもう一人じゃありません。
一緒にあぶくに乗って流れのままにフワフワと漂います。
通り過ぎるクジラに、「エッヘン」とばかりにウィンクをしてみせると、
クジラも愉快そうに得意の潮を噴き上げます。

その後二人がどう暮らしているのか、今では知る人もいません。
きっと二人で楽しく暮らしているに違いないと私は思うのです。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子は今日はいつもと反対の方向を見ることにしました。

あ、あそこに何かいる!
よく見ると、そこには女の子と同じような羽を生やした人があぶくに乗ってフワフワと
浮いていました。

二人は目を合わせてニッコリと微笑み合いました。
何も話さなくても心が通じ合ったような気がしました。
それだけでもう二人は友達でした。

女の子はもう一人じゃありません。
一緒にあぶくに乗って流れのままにフワフワと漂います。
通り過ぎるクジラに、「エッヘン」とばかりにウィンクをしてみせると、
クジラも愉快そうに得意の潮を噴き上げます。

その後二人がどう暮らしているのか、今では知る人もいません。
きっと二人で楽しく暮らしているに違いないと私は思うのです。
作:藍子
2008年07月22日
名もない話 第3話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子はふと視線を感じる方へ目を向けてみました。

そこには少年がいました。
「やぁ。君は誰?僕はミドリっていうの。目が覚めたらココにいたんだ。」
女の子は「そういえばわたしの名前は何だったかしら。」
と思い出そうとしますが、思い出せません。
けれども友達ができたことが嬉しくてたまりません。
二人はお互いのことをいろいろと話したり、海の秘密を教えてあげたり、
しばらく楽しく時を過ごしました。
けれど、そろそろ夕刻になろうというとき、ミドリは
「帰らなきゃ。」
と一言つぶやいて、かき消すように消えてしまいました。
「また一人ぼっちだわ。」
女の子はまた椅子に座りました。

その姿はどこか寂しげでした。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。

女の子はふと視線を感じる方へ目を向けてみました。

そこには少年がいました。
「やぁ。君は誰?僕はミドリっていうの。目が覚めたらココにいたんだ。」
女の子は「そういえばわたしの名前は何だったかしら。」
と思い出そうとしますが、思い出せません。
けれども友達ができたことが嬉しくてたまりません。
二人はお互いのことをいろいろと話したり、海の秘密を教えてあげたり、
しばらく楽しく時を過ごしました。
けれど、そろそろ夕刻になろうというとき、ミドリは
「帰らなきゃ。」
と一言つぶやいて、かき消すように消えてしまいました。
「また一人ぼっちだわ。」
女の子はまた椅子に座りました。

その姿はどこか寂しげでした。
続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年07月17日
名もない話 第2話
これは名もないお話です。
今日も表紙を開いてみましょう。


女の子は今日も椅子に座りませんでした。
ちょっと意地を張っていたのです。
それを見ていたクジラはワハハと笑いながら潮を噴いてみせました。
クラゲがささやきます。
「いいじゃないか、モノは試しに座ってごらんよ。」
女の子は恐る恐る座ってみました。

クラゲ達がそれを見てはやしたてます。
「わーい!座ったぞ!まだまだ硬いなぁ!リラックスリラックス!」
クジラも大きな潮を噴いてみせました。
女の子は座ってみて、辺りを見渡してみました。

いつもと世界が違って見えました。
「あら、あんな所にあんなものあったかしら?」
海の中にもお月様はあるのです。
女の子は「どうして今まで気づかなかったのかしら」、と不思議でした。

一度座ってみると、なかなか座り心地の良い椅子です。
ふと視線を感じて、そちらの方を目を凝らして見てみました。
すると、そこには・・・。
さて、この後何が起きたのでしょうか?
続きはまた別の機会に。
作:藍子
今日も表紙を開いてみましょう。


女の子は今日も椅子に座りませんでした。
ちょっと意地を張っていたのです。
それを見ていたクジラはワハハと笑いながら潮を噴いてみせました。
クラゲがささやきます。
「いいじゃないか、モノは試しに座ってごらんよ。」
女の子は恐る恐る座ってみました。

クラゲ達がそれを見てはやしたてます。
「わーい!座ったぞ!まだまだ硬いなぁ!リラックスリラックス!」
クジラも大きな潮を噴いてみせました。
女の子は座ってみて、辺りを見渡してみました。

いつもと世界が違って見えました。
「あら、あんな所にあんなものあったかしら?」
海の中にもお月様はあるのです。
女の子は「どうして今まで気づかなかったのかしら」、と不思議でした。

一度座ってみると、なかなか座り心地の良い椅子です。
ふと視線を感じて、そちらの方を目を凝らして見てみました。
すると、そこには・・・。
さて、この後何が起きたのでしょうか?
続きはまた別の機会に。
作:藍子
2008年07月15日
名もない話
これは名もないお話です。
ここに本の表紙がありますね。
どんなお話なのか、そっと開いてみましょう。


海の底に女の子が一人で暮らしていました。
いつからでしょう。
女の子は思い出せない頃からずっとここに暮らしています。

お友達はといえばクジラとクラゲです。
クジラがささやきます。
「おい、あそこに座り心地の良さそうな椅子があるぞ」
女の子は勇敢にも答えます。
「あら、そんなことは知ってるわ。ただ座りたくなかっただけよ。」

けれど、クジラの言った「座り心地の良さそうな椅子」というものが
どんどん気になり始めます。
「座り心地が良いってどんなものかしら?」とか
「座って見ても大したことなかったらつまらないわ」とか
あれこれ自分に一人ごちてみても、やっぱり気になるのです。
女の子はどうしたんでしょうか?
続きはまた別の機会に。
作:藍子
ここに本の表紙がありますね。
どんなお話なのか、そっと開いてみましょう。


海の底に女の子が一人で暮らしていました。
いつからでしょう。
女の子は思い出せない頃からずっとここに暮らしています。

お友達はといえばクジラとクラゲです。
クジラがささやきます。
「おい、あそこに座り心地の良さそうな椅子があるぞ」
女の子は勇敢にも答えます。
「あら、そんなことは知ってるわ。ただ座りたくなかっただけよ。」

けれど、クジラの言った「座り心地の良さそうな椅子」というものが
どんどん気になり始めます。
「座り心地が良いってどんなものかしら?」とか
「座って見ても大したことなかったらつまらないわ」とか
あれこれ自分に一人ごちてみても、やっぱり気になるのです。
女の子はどうしたんでしょうか?
続きはまた別の機会に。
作:藍子